最後にですね、まとめの意味ではないですけれども、
皆さんのお父さんお母さんが皆さんをどう思って育ってきたか、
そして今皆さんが
大学に入って一人暮らしをしたり
まあ実家から通っている人もいるでしょうけれども、
どんな思いで、今を迎え、
そして将来どんな大人になっていくのか、
どういう食生活を子どもたちにさせていくのかということを考えてもらうために、
ある大学生の作文を紹介したいというふうに思っています。
「お母さんのハンバーグ」という九州大学の当時一年生だった
岩永さんという女子学生の作文です。
私が一番記憶に残っている食の風景といえば、
明日から一人暮らしという日の夜ご飯の一場面です。
晴れて九州大学に合格し、
今まで遊べなかった分まで遊び尽くし、
新しい生活をスタートさせるべく、
新しい家探しに奮闘し、と、
1ヶ月ほど待った春休みはあっという間に過ぎていきました。
志望校に合格したいという自信と、
初めて髪を染めパーマをかけ、
制服ではなく自分の好きな服を着ることができるのだという期待感、
どんな部屋にしようか、どんなサークルに入ろうかと
いうワクワク感ばかりが私の心の中を占めていて、
毎日が楽しくて早く大学に行きたいと
心から思っていました。
私は長女だということもあってから、
小さい頃から親に甘えない自立した子だと言われてきました。
そして私自身も親から離れてもそんなに寂しくないし、
平気だろうと思っていました。
だからあの時は自分でも本当にびっくりしたんです。
明日は私の引っ越しという日の夜、
私はいつも通りお風呂に入り、
テレビを見て
お母さんが夜ご飯を作ってくれるのを待っていました。
お父さん、いつもはもうちょっと遅く帰ってくるのですが、
この日はなつも最後だしということで早く帰ってきてくれて、
家族5人で食卓を囲みました。
この日のメニューはハンバーグありふれたメニューだけど、
お父さんも妹も弟も、そして私も大好きなメニューです。
「今日は忙しかったけど、なつが最後やけん、頑張って作った~」
とお母さんがいつもの調子で言います。
妹は高校二年生、小学四年生の弟にうちのハンバーグの方がでかい、
よかろう~とか言い、
負けじと弟も皿をかえたりと応戦します。
そして冷めた目で私がバカやないと一言。
結局私が最後ということで一番でかいハンバーグをゲットし、
一応の決着がつきました。
そこでみんな揃って「いただきます!」
私はやっと食事に味付けたと思いながら
ハンバーグを一口口に入れました。
そこで私の箸は止まりました。
しばらく止まっていました。
すると隣に座っていたお母さんが
「なん、なつ、なきよると」
と私の顔を覗き込みました。
そう、私はこの時泣いていたんです。
涙も鼻水も次から次に出てきて、
喉が締まるような感じがして、
あれだけ好きだったハンバーグが喉を通らなくて、
箸が止まっていたんです。
いつの間にか家族の前で泣くことを
すごく恥ずかしく感じるようになっていたらしく、
最初のうちはどうやって泣き止もうか、
もしくはいかにバレないように泣くかを考えていた私でしたが、
お母さんに気づかれたらしょうがないと
完全に箸を置いてワンワン泣きました。
お父さんがティッシュを持ってきてくれて
拭いても意味ないと思えるくらいに出てくる涙を拭きました。
「寂しくて泣いてくれよるとなつは泣いてくれると思っとった。
なんか嬉しかよねお父さん」
とお母さんも泣きながらいい
お父さんが「そうね」と答えました。
妹弟は最初ぎょっとしていたようですが
空気を読んでか読まずか
「ああ、おいしか」
なんて大声で言い合って
その場を盛り上げてくれていました
私はといえば、しばらく泣いて落ち着いたのか、
「なんだ私は寂しかったのか、でもまさか泣くとはな、
久しぶりにこんなに泣いたな、なんかスッキリした、
ああ、お腹すいた」
とまた食べ始めました。
美味しすぎてまた泣けてきたけど、
すきやもを泣きながら食べ続けました。
こんな時でさえもしんみりせずに明るい雰囲気にしてくれた
家族の愛情をひしと感じながらゆっくり食べ進めました。
そして結局完食。
鼻をズビズビ癒せながら食べても
お母さんのハンバーグが美味しかったです。
今思えばあれだけ泣かなかった私が
あのハンバーグを一口食べた瞬間泣いてしまったのか
すごく不思議です。
だけどきっとあの一口が今までのいろんなことを思い出せる
何らかのすごい力を持っていたんだろうと私は思っています。
そして私はあのぐちゃぐちゃだったであろう
顔で食べたハンバーグの味を一生忘れないと思います。
と同時に、あの時、さりげなくティッシュを差し出してくれたお父さん、
一緒に泣いてくれたお母さん、
あの場を明るくしてくれた妹、弟への愛情も一生忘れないと思います。
という大学一年生の女の子の作文でした。
皆さんもこうやって食べさせられて、
こうやって育てられてきて、
今ここにいます。
そして、これから先、自分の人生を自分の力で歩んでいきます。
自分の家庭を持つ人もね、たくさんいるでしょう。
そういう時に、
そういう自分が育てられたようなあったかい食卓、
あったかい食っていうものを、
ちゃんと次の世代に残せるような人間になってほしいなというふうに思いますし。
そして、繰り返しになりますけれども、
そのためには、バランスの取れた食生活ってすごく大事ですので、
そのためには生協の事業とかもね、
充分活用して、自分の人生をより豊かに、
より幸せにしてほしいなというふうに思っています。
ちょうど50分になりましたので、
これで私の話は終わります。
ええ、ご清聴ありがとうございました。
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