食育研究家。九州大学講師/糸島市行政区長/1973年、大分県生まれ。農学博士。/年間の講演回数は100回を超え、大人向け学びの場である「大人塾」「ママ塾」「mamalink塾」等も主宰/主な著書に『いのちをいただく』『すごい弁当力!』『食卓の力』など、いずれもベストセラー/新聞掲載、テレビ・ラジオ出演も多数


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和牛のお話③

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のつづき。

 

黒毛和牛、サシ入り肉一辺倒の
価値観、生産流通体系がよくない
それをブチ壊せばいい
なんて言っても、そんなに甘いもんじゃありません。

 

国家戦略として
膨大なお金と時間とマンパワーをかけてきたわけです。

例えば、
県の畜産試験場(農林水産研究センター)を見に行くと
口蹄疫防止のために
最新の施設を作っています。

 

種雄牛を作り上げるシステムにも
膨大なお金と時間とマンパワーがかかっています。

 

大分県
畜産試験場(農林水産研究センター)では
繋養牛:28頭
基幹種雄牛:9頭
待機種雄牛:19頭
が育てられています。

 

いい肉を作ろうと思ったら
基本は単純で
いい血統が必要。
だから雄種牛が非常に重要なのです。

この種雄牛の
冷凍精子
その地域のブランド牛を生産したい農家が購入し
人工授精して、「○○牛」として出荷するのです。

 

大分県であれば
「豊後牛」です。

 

つまり、
豊後牛はこの9頭の雄種牛が
支えていることになります。

 

とすれば
その9頭がどんな牛なのかが
決定的に重要で
ある意味、地域の命運を握ります。

 

だからこそ
その選抜に
ものすごい
膨大なお金と時間とマンパワーがつぎ込まれます。

 

ちなみに
実際の種雄牛を見ると
本当に立派で
体重は700kg~1000kg。

 

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大分県の場合
まず、直検候補種雄牛が12頭選ばれ
直接検定(発育の試験、112日間)が行われます。

そのあと
現場後代候補種雄牛が4頭選ばれます。

種畜検査が行われ
試験交配されます。

1種雄牛あたり35頭の受胎が目標。
つまり約140頭。

それから約30か月育てられ
現場後代検定(産肉の試験)が行われます。

1種雄牛あたり
17等が選抜されます。

最後に
最終選抜が行われ
基幹種雄牛となることができます。

 

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最低5年はかかります。

この牛の肉質が
松阪牛佐賀牛や神戸牛、等々
各地域のブランド牛の肉質を決定するわけですから
それは責任重大です。

 

このように
国家戦略として
各県、各地域が
これだけのお金とエネルギーと時間を費やしています。
それで食っている人が
相当にいます。

 

「問題だから、このシステムをぶっ壊そう」
なんてことには、簡単にはならないのです。

 

(つづく)

 

 

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