食育研究家。九州大学講師/糸島市行政区長/1973年、大分県生まれ。農学博士。/年間の講演回数は100回を超え、大人向け学びの場である「大人塾」「ママ塾」「mamalink塾」等も主宰/主な著書に『いのちをいただく』『すごい弁当力!』『食卓の力』など、いずれもベストセラー/新聞掲載、テレビ・ラジオ出演も多数


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オキシトシン

新生児の視力は0.03しかなく
20~30センチのところしか焦点が合わない。
いわば、カメラの単焦点レンズのようなものである。

 

この30センチと言う距離。
母乳を上げているときの
赤ちゃんの目とママの目の距離なのだ。

 

赤ちゃんにとって
数少ない「見える」もの。
それが母親の表情であり
赤ちゃんにとって
非情に大切な情報源だ。

 

つまり、この時期の赤ちゃんにとっては
赤ちゃんと目を合わせることが、
赤ちゃんの脳の発達には非常に大事。

 

臨界期という考え方がある。

 

生き物がその能力を獲得するには
適切な時期に
適切な刺激を
脳に与えなければならず
それを逸すれば
その能力は一生失われてしまう
というものだ。

 

例えば、
熱中症になりにくい体にするためには、
2歳6カ月までに暑さを経験させることが重要である
能動汗腺の数は、
2歳6カ月までにいかに暑さを経験したかによって決まる。
ずーとエアコンの部屋で育った赤ちゃんは
将来、熱中症で苦労するかもしれない。

 

話を戻そう。

 

人の表情を読む能力の獲得は
生後6カ月ころが発達のピーク
と言われている。

それまでに、
いかに赤ちゃんが母親と目を合わせ
その表情の刺激を
脳に与えるかが重要になるはず。

 

では、現実はどうか。

 

ある調査では
授乳中、テレビがついていたり(つまり母親がテレビを見ている)
携帯を触っている割合は8割。

 

さらに。

 

授乳するときに母体血中にオキシトシンが分泌される。
面白いのは、お母さんが赤ちゃんをじっと見つめて授乳すると5分に一度、
オキシトシが分泌されるが、
テレビを見ながらだったり、
携帯メールをしながらだったりすると、
オキシトシンは分泌されにくい。

オキシトシンは母乳中にも分泌される。
つまり、赤ちゃんは母乳を通じてオキシトシンを摂取することになる。
また、心地よい感覚を与えられた乳児は、脳内でオキシトシンが分泌される。

ではオキシトシンとは何か。

オキシトシンとは
「特定の相手に対して愛着の形成を促進するホルモン」である。

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興味深い実験結果。

スイスのチューリッヒ大学のKosfeltは、
このオキシトシンが人の信頼度を高めるという証拠を見出した
( Michael Kosfeld et al., Oxytocin increases trust in humans, Nature, .435, pp 673-6, 2005)。

研究チームは、58人の男子学生を対象に、
オキシトシンと偽薬を鼻に噴霧し、
他人にお金を預ける投資ゲームを行った。

受託人を信頼してどのくらいお金を預けるかを比較したのである。

その結果オキシトシンを噴霧されたグループの45%が、
もっとも高い投資額を選んで受託人に預け、
最も低い額を投資したのは21%であった。

これに対し、偽薬を噴霧されたグループの45%は
もっとも低い投資額を選び、
最も高い額を投資したのは21%と逆転した。

一方、受託人を直接人の間の相互作用の無い
コンピューターに置き換えた場合は、
預ける投資額に両グループで差はなかった。

 

つまりオキシトシンを吸入すると、
大胆になるのではなく、
他人に対する信頼感が高まるということである。

 

わが子の、脳を発達させ
母子の愛着、信頼関係の形成のためには…