食育研究家。九州大学講師/糸島市行政区長/1973年、大分県生まれ。農学博士。/年間の講演回数は100回を超え、大人向け学びの場である「大人塾」「ママ塾」「mamalink塾」等も主宰/主な著書に『いのちをいただく』『すごい弁当力!』『食卓の力』など、いずれもベストセラー/新聞掲載、テレビ・ラジオ出演も多数


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山極壽一先生特別講演レポート、その③

ニホンザルは食物を分配しない。
食べるときは分散する。
トラブルを防ごうという簡単なルール。
誰が強いかをわきまえて行動している。

 

例えば
一番弱い個体がエサを食べようとしていて
そこに強い個体がいると食べることができない。
そこにより強い個体がやってくる。
一番弱い個体は
一番強い個体に助けを求める。
No.1は、地位を脅かす個体を
やっつける行動に出る。
そうすると一番弱い個体が
エサにありつける。
これをサル知恵という。

 

人間の世界でもある。
ことわざにある。
「虎の威を借る狐」「漁夫の利」とか。

 

 

でも、それは「はずかしい行為」としての戒めのことわざ。

 

 

なぜなら、
ゴリラやチンパンジーは
サルのようには行動しないから。

 

 

類人猿は食物分配する。
チンパンジーのオスは
自分が食物を獲得した場合
体が大きいので自分一人で食べれないことはない。
しかしメスがしつこい。
オスはメスに手から取って食べることを許す。
そうすると対面し、車座になって食べ始める。
互いに対面することが「強さ」の証明ではない。
ゴリラにも食物の分配行動がある。

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食物分配が発現する種の系統比較。

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大人間の食物分配は
近親者が子どもに分配する種にしか見られない。
類人猿とマーモセット科に多い。
マーモセットは双子、三つ子。

 

共通点は
「長い成長期」と「多産」。
つまり、母親に負担がかかる種。

 

食物分配と育児はおおいに関係することがわかる。

 

とすると
人間は非常に「気前がいい」。

 

なぜなら
・採取する段階から分配を考えている。
・その場で食べずに必要以上の量を集め
・仲間のもとに持ち帰り
・仲間と分配し
・仲間と一緒に食べる。


そのことによって、
仲間の構成、組織の構成が変わる。

 

また、食べるほうからすれば
仲間を信じて食べる。

 

これができるのは
いろんな抑制がかかっている。
食物の役割を変化させた。
食物を社会化した。

 

食物分配行動を進化的にまとめると

 

分配なし 69種
子どもに分配 39種
大人同士で分配 新世界サル15と類人猿の10
広域の分配 1種のみ

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※当日の撮影は禁止されていましたので、すべてネットから画像を探し出しました。

 

その④につづく。

www.goshisato1973.info