食育研究家。九州大学講師/糸島市行政区長/1973年、大分県生まれ。農学博士。/年間の講演回数は100回を超え、大人向け学びの場である「大人塾」「ママ塾」「mamalink塾」等も主宰/主な著書に『いのちをいただく』『すごい弁当力!』『食卓の力』など、いずれもベストセラー/新聞掲載、テレビ・ラジオ出演も多数


official web: http://goshisato1973.com/


佐藤剛史の著作一覧


佐藤剛史への講演依頼

講演依頼フォームはコチラ


佐藤剛史の講演のサンプル動画


佐藤剛史への連絡は→goshisato1973@gmail.com

友だち追加

創作活動⑮-入院ショート9本目-

ショート。

だれを主人公にするか
どんな場で
誰に語らせるかによって
ニュアンスが変わってくる。

 

最初は、デイルームでの
入院患者同士の会話にしようと思ったけど
棘や角が立ちすぎたり、
優劣や善悪がはっきりしすぎて
設定を変更。

 

こんなショートでも
結構考えてる(笑)

 

 

医療の「平等」と「公平」

責任者のベテラン看護師が問いかける。
「はい、他に引き継ぎ事項ありますか?」
ある新人看護師が答える。
「そう言えば、今朝、退院された○○さんから、最後にこんなことを言われました」

 

入院患者に対する、サービス、ホスピタリティが違いすぎる。体は元気だから、トイレに連れて行ってほしいとか、お風呂で背中を流してほしいとは言わない。
そりゃ、介護、看護が必要な人もいる。
だけど、他の年寄りには、定期的にご機嫌伺いに来たり、話し相手になったり、食事も食べやすい麺類にしましょうか、とか、みそ汁の玉ねぎを抜いてあげたりしている。
一方で、俺は、ほったらかしでずっとお粥。「何か要望はありませんか?」の一言もない。
心が狭いだなんて思わないでほしい。
体が自由に動くこと、自分のことは自分でできること、なんでも食べれることは、本当にありがたいことだと思う。
俺のために使う時間や労力は、お年寄りのために使ってくれた方がいい。
だけど、それは患者の思いやりであって、患者側から言うこと。
サービス、ホスピタリティを提供する側は、同じ入院料金をもらってるのだから、できるだけ同じようなサービス、ホスピタリティを心がけるべきだろ思うがどうだろう?
これだけ、権利とか、人権とか、平等とか、個性の尊重とか言われている時代だから。いろんな患者がいて、いろんな思いや考えを持っていることにも配慮すべきだと思う。
とはいえ、本当にお世話になった。
ありがとう。
すっかり元気になった。
また、お世話にならなくていいように、気をつけるよ。

 

 

「で、あなたは何と答えたのですか?」
「すいませんでした。気をつけます…って」
「そう、患者さんには権利があります。掲示板にも『患者さんの権利と責務』が貼ってあるでしょ?」

 


「一行目を読んでください」

「誰もが個人の尊厳を守られ、良質な医療を公平に安心して受ける権利があります」

「そうです。患者さんには、権利があります。そして大事なのは『公平』。『平等』ではありません。では、公平と平等の違い、わかりますか?」

「わかりません」

 

こういうことです。

「医療の世界は平等ではなく、公平なのです。必要な人に、必要な医療を届ける。必要な人に、必要な手を差し伸べる。それが医療です」

 

みんな、頷く。


「でも、その方が言われたように、『いろんな患者がいて、いろんな思いや考えを持っていることにも配慮すべき』はそうですね。気をつけましょう。お疲れさまでした」

 

「お疲れさまでした!」

(おわり)

 

 

はてなblogランキング、参加しています

さて、今日は何位かな?↓

 

youtube、チャンネル登録、お願いします

 

不定期8:00に配信、ゴーシ先生のLINE公式↓
友だち追加

この記事に、いいね!
と思った方は是非、読者登録を↓(blogを更新するとお知らせが届きます)