2002年から伊都キャンパスでの環境保全活動を続ける中で、ずっと抱えていた課題がありました。地元地域(元岡、桑原)との連携です。 自家用車やバスで伊都キャンパスに入り、地元の人たちと出会うこともなく、作業を終えて帰途につくという活動が続きました。
「地元の人と一緒に地域の里山や生きものを守る」、そんな取り組みに深めていきたかったのですが、その一歩目をどう踏み出せばよいか分かりませんでした。
2005年度に、大きな前進がありました。いつかは実現したいと思っていたことを実現できました。
その一つが、地元地域のデカタ(共同作業)への参加です。伊都キャンパスのある元岡地区では、年に2度、デカタが実施されます。田植え前と稲刈り前に、川の土手の草刈り・水路の溝浚えを行うのです。それに、学生、教職員で参加しよう。
しかしこれが物理的にタイヘン。朝7:30に集合しなければなりません。5:30の始発の地下鉄で周船寺駅までいき、そこからタクシーにのり、6:30に現地到着。それから軽トラを借り、伊都キャンパスに保管してある草刈り機、等を準備して、集合場所に戻り7:30。
地元の方々と一緒に汗を流し、11:00に作業終了。それからは地元恒例の打ち上げ。学生や教職員が、地元の方々の輪に交じり、「本当に来てくれてよかった。こんなに作業が早く片づいたのは九大の皆さんのおかげだ」と感謝の言葉を頂きます。
酒宴は盛り上がります。飲み慣れた地元のメンバーだけでなく、フレッシュな九大の学生がいるからでしょう。地元の昔話に耳を傾ける学生、酒を酌み交わしながら地元の未来について語るお年寄り、興味津々に男子学生にいろいろと尋ねる地元女性軍。そんな様子を見ていると、このデカタは、実際の労働力としても地元地域に貢献できるし、それ以上の効果があることを実感しました。
このデカタ参加を発端に、地元との連携活動は一気に広がっていきます。地元の子どもたちを伊都キャンパスに招いて、ヤマツツジの植樹作業を行ったり、ホタル観賞会を行ったり、いわゆるツリーハウスのようなものを作ってみたり。ソフトボール対決を行ったりもしました。
中でも印象的なのが『写真deトーク』というイベント。地域に残る古い写真を集めて、それを見ながら、地域の古老に昔話をしてもらうというもの。
地域の古い写真をデジタルデータとして残せますし、学生は地域のリアルな歴史を学ぶことができます。何より、お年寄りに喜んでいただきました。
地元の方々と交流する中で、忘れられない言葉があります。「丘の上にビルが建ち始めよるが、あれはどこまで高くなるんやろうか?」というもの。当時、九大は「説明会をしっかり行い、地元の理解を得ている」と言っていました。当然、説明会は行われていたのでしょうが、不安を抱えている人がいたことも事実でした。
一緒に作業し、汗を流し、膝を突き合わせて酒を飲み、質問に答えれる分には答え、わからないところは大学に戻って調べ、ということを繰り返しました。
当時は、楽しいことを必死にやっていただけですが、今考えれば、伊都キャンパスへの本格移転が始まる前に、地域住民レベルでの地ならしやっていたことになります。
もし当時の地域住民の不信感が取り除かれ、九大に対する信頼感が高まったのだとしたら、九州大学は私達に相当感謝していい(笑)。
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