食育研究家。九州大学講師/糸島市行政区長/1973年、大分県生まれ。農学博士。/年間の講演回数は100回を超え、大人向け学びの場である「大人塾」「ママ塾」「mamalink塾」等も主宰/主な著書に『いのちをいただく』『すごい弁当力!』『食卓の力』など、いずれもベストセラー/新聞掲載、テレビ・ラジオ出演も多数


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創作活動③-入院ショート2本目-

昨晩、勢いでショートを書いてみて
「今の自分」は、絵を描くより
手を使ってモノを作るより
言葉で何かを紡ぎだすことが好きなのだと
改めて気が付いた。

 

そうして
眠りにつきながら
次のネタを考えていた。

夜中に目が覚め
ウトウトしながら
ネタを考えていたら
思いついてそわそわし始め
4:00からPCをひらく。

 

今日は鎮静剤を使っての治療があり
治療後は5時間安静なので
今のうちに書いておいた方がいい。

 

入院ショート2本目。

 

 

『アルコール消毒』

その男は入院することになった。
ここ数週間、特に、疲労や倦怠感を感じ、決定的だったのは何名かの近所の人に「顔色が悪い」と言われたこと。
病院に行くのは好きではない。血液検査をされ、いろんな値が明らかになり、耳にタコができるほど「アルコールを控えるように」「禁酒をするように」と言われるのが嫌だった。最近は、特に地域の役職についていて、つきあいや飲み会も多い。飲まざるを得ないし、だから、病院に行くのが嫌だった。
しかし、近所の人たちの進言もあり、病院に行ってみることにした。本当に体を壊してしまったら、本当にいろんな人に迷惑をかけることになると思いなおしたのだ。

 

その男の父親は、彼が若いころに肝臓の病気で命を落とした。そのこともあって母親は「お酒には気をつけるように」と口酸っぱく言ってきた。
その男も、若いころはお酒に対する恐怖感があったが、大学に入ってサークルのコンパがあり、先輩たちに大量の酒を飲まされた。例えば、焼き鳥の載せられていた大皿に「剣菱」という日本酒を注がれ、大相撲の優勝力士のように、それをイッキで飲まされた。飲むまで終わらなかった。今となってはアルコール・ハラスメントだが、当時はそれが普通であった。でも、そうやって、それに慣れていったし、強くなった。そもそも、自分がアルコールに強い体質であることも自覚していった。

 

「泣き上戸」「笑い上戸」というような、お酒を飲んで性格がかわるわけでもない。だけど、楽しい気持ちにはなる。友達とバカ話をしながら飲むお酒は楽しかったし、お酒を飲むこと自体が楽しい遊びであった。
学生の頃は、一人で飲むことはなかったが、就職してからは、お金に余裕もできたし、一日の労をねぎらうように晩酌するようになった。

 

アルコールが怖いのは、いわゆる強くなって、酒量が増えていくこと。そして、一定ラインを越えて酔ってしまうと、自分が酔っているかどうかも分からなくなり、さらに飲んでしまうこと。

二日酔いで吐きながら「もう二度と飲まない」と誓いながらも、気持ち悪さを胡麻化すために迎え酒をしたり、風邪をひいても「アルコール消毒せな」と焼酎の五合瓶に手を伸ばす。

酒好きアルアルだ。

 

そんな日々を20年近く続けているとさすがに、肝臓に負担がかかりすぎたのだろう。
かかりつけの病院に行って、検査し、いろいろと先生と話す中で入院せざるを得なくなった。入院するつもりで、行ったわけではないし、大事なスケジュールもある。少し抵抗はしてみたものの、いざとなったときの病院の先生は有無を言わせない。その迫力がある。

そして「まぁいくら私が言っても最終的には自己判断、自己責任ですが。そうやって早死にした人を何人も観てきましたよ」。
定番の脅しなのだけれど、やっぱり彼自身も怖くなって、入院の指示に従うことにした。
かかりつけの小さなクリニックでは入院できないので、総合病院への紹介状を書いてもらう。

 

総合病院でも、まずは簡単な診察。
紹介状とこれまでの検査結果を見ながら、まずは体調をしっかりと整えつついろんな検査をしていきましょう、ということになった。すぐに点滴をつけられる。
そのまま、入院手続きをして部屋に案内される。4人部屋だけど、海が見える窓側のベッド。
ただ、のんびりとゆったりと時間を過ごせるわけではない。

24時間、点滴は外れないし、一日3回の体温、血圧検査。
入院当初は、ほぼ毎日血液検査。
エコーやCT次々と検査が行われる。

 

入院して気が付いたのは、あれだけ好きだったお酒を全く飲みたくならないこと。そんな自分を見つめなおしながら、「ヒマだったからお酒を飲んでいた」「寂しかったからお酒を飲んでいた」ことに気が付いた。

 

 

今日も血液検査。
看護師さんがカートを運んできて採血の準備。
消毒のために脱脂綿にアルコールを浸して、お約束の質問をする。
「アルコール負けしたことはありますか?」
男は、窓の外、遠きを見つめながら答える。
「強いつもりでした。でも、結局は負けていたんですね…」
「あ、そういうのいらないです」

(おわり)

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