食育研究家。九州大学講師/糸島市行政区長/1973年、大分県生まれ。農学博士。/年間の講演回数は100回を超え、大人向け学びの場である「大人塾」「ママ塾」「mamalink塾」等も主宰/主な著書に『いのちをいただく』『すごい弁当力!』『食卓の力』など、いずれもベストセラー/新聞掲載、テレビ・ラジオ出演も多数


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ギリパラと脳科学

先日、ある方と
時間術、ギリパラの話になりました。

「ギリギリパラダイム」。
通称「ギリパラ」。

www.goshisato1973.info


私は、原稿依頼が来ると
すぐに原稿を作成して
返信します。

先日は
北海道新聞
2000字ほどの原稿だったので
1時間後。
昨日は大分合同新聞
50文字ほどのコメントだったので
30秒。

「最速」という言葉を
よくいただきます。

なぜ、それが出来るかというと
「今」やるべきことに
追われていないからです。

「今」やるべきことは
そのやるべきことが
提示された瞬間に
終わらせてしまっているからです。

「...分かってはいるんですが
 それでもやる気が出ないんですが...」

私なりの答えは
「やらないからですよ」

例えば、
部屋の片づけ。

散らかりすぎた部屋を目の前にすれば
やる気は出てきません。

でも、やってみるんです。

やる気の源は
脳の側坐核にあります。
側坐核神経細胞は、
ある程度の刺激によって活動を開始します。
作業を始めると、それが刺激になります。
側坐核が自己興奮してきて、
アセチルコリンが分泌され「やる気」がでるのです。

作業を始めてみると、
気分が盛り上がってきて、
やる気が出ることってあるでしょう。

例えば、テスト前。
気持ちよく勉強するために
部屋の片づけを始めたら
ついつい部屋の模様替えまでしてしまったとか(笑)

心理学者のクレペリン
これを作業興奮と呼びました。

脳内物質アセチルコリン
脳の認知機能や「ひらめき」の機能を増します。

だから
私は原稿依頼が来ると
書く気がしなくても
とりあえず「一太郎」を開いて
ファイル名を入力するのです。
キーワードでも締切でも
書き込んでみるのです。
そうしたら、いろいろ思いついてきて
1時間後には原稿が出来てる。

本の原稿にしてもそうです。
思いついたら
とりあえずフォルダを作る。
ファイルを作る。
ネットでキーワードを検索し
evernoteでクリップしておく。
そうやって作業を始めるのです。

「...分かってはいるんですが
 それでも、それでもやる気が出ないんですが...」

では、ドーパミンの力を借りましょう。

ドーパミンとは脳内の「幸福物質」です。
ドーパミンが分泌されると
「幸せ」を感じることができます。

ドーパミンが作られるのは
中脳腹側被蓋部にあるA10神経核。
そこから中脳辺縁系を通じて
側坐核へ流れていきます。
そして、側坐核が刺激され
ワクワク感ややる気が出るのです。

では、どうやったら
ドーパミンが分泌されるかと言えば
「目標設定」と「目標達成」。

まず、明確な目標を設定します。
これは、家全体を片づけよう
とか壮大な目標ではなく
この机の、この引き出しを片付けよう
といった具合に
短期的で実現可能な目標にします。

目標を達成した瞬間をイメージします。

この段階でドーパミンが出始めます。
で、やり始めると
側坐核が刺激され
作業興奮に入っていきます。

目標を達成したら
ゴディバのチョコレート一粒でも
自分にご褒美を与えます。

ほめてもらえることは、
非常に大きな心理的報酬になります。
誰も褒めてくれなければ、
自分で自分をほめましょう。
ただし、「目標を達成したとき」
というタイミングが大事です。

引き出しの片付けが終わったら
「私ってスゴイ!」
って思ってゴディバです(笑)

これでまたまたドーパミンが出て
「よし、次の引き出しもやろう」
というやる気が出てきます。

これを繰り返しながら
脳を常に
「目標設定」のモチベーション
「目標達成」の心理的報酬の
と幸せサイクルにいれこんでおきます。

(私が次々とイベントを仕掛けるのも
 そういう理由なのかと
 今、自分で気づきました)

ちなみに、
ギリパラと言えば
夏休みの宿題。
毎年、夏休みの終わりに
溜まりまくった宿題に追われ、
涙を流しながら、
「今年こそは計画的に!」
なんて誓うのだが
やっぱり、次の年も
ギリギリになるまでやらない。

期限ギリギリまでとりかからない。
でも、なんとかできちゃう。
そのできちゃうという経験があるので
やっぱり、期限ギリギリまでやらなくなる。

なんで、
ギリギリでできちゃうのか。

明日までに宿題をしなければならない
という課題に直面したとき、
側頭葉内側の奥に存在する「偏桃体」が、
その刺激を「不快」かどうか判断。

当然、宿題はストレスです。

ストレスを感じるとノルアドレナリンが、
副腎髄質から血液に放出される。

そのときに生物として
とる行動は2つ。
「闘争」か、「逃走」か。

いずれの行動をとるにせよ
身体を臨戦状態にするために
アドレナリンが
心拍数を直接増加させるように交感神経系を動かし、
脂肪からエネルギーを放出し、
筋肉の素早さを増加させます。
覚醒度、集中度もアップします。

だから1日で宿題がこなせるのです。

私の場合、本の原稿に
非常に厳しい締め切りを
自ら課しますが
脳科学的に言えば
それはこんな意味があるのです。