食育研究家。九州大学講師/糸島市行政区長/1973年、大分県生まれ。農学博士。/年間の講演回数は100回を超え、大人向け学びの場である「大人塾」「ママ塾」「mamalink塾」等も主宰/主な著書に『いのちをいただく』『すごい弁当力!』『食卓の力』など、いずれもベストセラー/新聞掲載、テレビ・ラジオ出演も多数


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ドイツ ユーゲント・ファーム

ドイツに来ると、
毎回、必ず一つは新しい仕組みや取り組みを知る。
今回、一番の衝撃。
ユーゲント・ファーム。
子ども農園。

 

子どもたちに解放された農園。
子どもたちは学校が終わると、
この農園に集まってくる。

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遊ぶ。
動物の世話をする。
働く。
ただ、それだけ。

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しかし、その遊び方、動物の世話、働き方が中途半端ではない。
馬もポニーも山羊もウサギもネズミも猫も
すべて子どもたちが面倒を見ている。

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畜舎の掃除も餌やりも、
子どもたちがちゃんとやる。
大人は何も言わない。

 

その馬に乗る。
アクロバティックに乗る。
馬の上に立ったりする。
大人は何も言わない。

 

 

秘密基地づくり。
もう秘密基地と言うよりは要塞である。
木材、のこぎり、釘、カナヅチを使って本格的に建設する。
大人は何も言わない。

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子どもたちは
自らとんんでもない秘密基地を作る。
血が騒ぐ。
私なら、5階建てを作るな。

木工のための部屋もあるし、
金属加工のための部屋もある。
自転車なんか平気で修理するそうだ。
溶接もする。
大人は手伝わない。

 

ただし溶接は危ないので、
8歳にならないとダメ。
8歳で溶接!?

 

音楽室には
ドラムとエレキギターとベースとアンプが完備。

 

図工用の部屋もある。
キッチンもあって、
そこではお菓子作り。
大人は何も言わない。
子どもたちが勝手に何かやっている。

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こうしたユーゲントファームは、
シュトットガルト近くに30カ所もあるという。

 

このユーゲントファームは20年前に設立された。
毎日平均して40人近くの子どもが遊びに来る。
毎日遊びに来る子も多い。
利用料は無料。
申し込みも必要ない。
市が2.5人分のスタッフの賃金(10万EUR)と
その他の活動費(5万EUR)の
計15万EURを補助している。

 

こうした施設が設立された背景は以下のとおり。
70年代以降、子どもの遊び場が無くなってしまった。
火も使えないし、水辺にも近づけない。
交通量も増えた。
自然に触れさせたいという親の要望が強まってきた。
そうしてこうのような施設が誕生した。

 

学校では、先生がいて、決められた授業、プログラムがある。
やらなければならないことがある。
学年毎に活動する。

 

ユーゲントファームには何もない。
やらなければならないことは一つもない。
やりたいことは自分で見つけなければならない。
そうして自主性、自立性を育てる。
お兄ちゃんが、小さい子の面倒を見て、いろいろと教えてあげる。
子ども社会が形成されている。
そうして社会性を学ぶ。
ここはスポーツクラブではないが、
いろんな遊び、仕事をして自然に体を動かしている。

 

しかし、ここの主宰者は20年子どもを見続けて、
子どもの変化を感じているそうだ。
昔は、本当に何もしなくてよかった。
しかし、最近は自分でやりたいことを見つけられない子供が増えている。
その理由は、テレビにあるかもしれないという。
習い事も増えた。
受け身の姿勢が身に付いている、
与えられることになれている。
太っている子も増えた。
運動量は確実に減っている。
少子化により、子ども一人に費やすお金が増えている。
その一方で、親の共働きが増え、
子どもに費やす時間が減っている。

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