食育研究家。九州大学講師/糸島市行政区長/1973年、大分県生まれ。農学博士。/年間の講演回数は100回を超え、大人向け学びの場である「大人塾」「ママ塾」「mamalink塾」等も主宰/主な著書に『いのちをいただく』『すごい弁当力!』『食卓の力』など、いずれもベストセラー/新聞掲載、テレビ・ラジオ出演も多数


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山極壽一先生特別講演レポート、その⑨

(ここから先、pptをmemoするのに必死)

 

今、大学では「グローバル人材の育成」が
盛んに叫ばれていますが
私が考えるグローバル人材とは。

グローバル人材とは?

①世界と時代の動きを見極められる視座
②自己のアイデンティティ
③自己の目標
④他者の気持ちと考えを理解できる
⑤状況を判断し、適応できる
⑥自己決定ができる
⑦危機管理ができる
⑧他者を感動させる能力をもつ(共感能力が前提)

①~④までは一般論としてよく言われていること。

 

今の若者のように
なんでも、ネットから情報を得る習慣が身についていると
情報がないと判断できなくなる。
意思決定ができなくなる。
直感が実は大事。
それは頭での理解ではなく
身体の経験に基づくもの。
その状況判断、意思決定が
危機管理にもつながる。

 

また、自分と他者との関係性の前提は感動。
人を感動させる力を身につけるというのが
究極的な目標の一つかもしれない。
そして感動の前提となるのが共感能力。

 

現代の大学教育

・知識を伝える教育は過去のもの
・知識はインターネットの中にある
・既存の知識ではなく未知の世界を教える
・考え方や実践の方法を教える

 


IT社会の利点

・効率性
・経済性
・モノとヒトの動きを加速
・距離を無視したコミュニケーション
・ネットワーク社会
・中心がない
・格差が見えない

 

IT社会の欠点

・顔が見えない
・階層性ができない
・リーダーの不在
・信頼関係の欠如
・意見をまとめるプロセスを共有できない
・炎上と修復不可能性

 

 

現代は不安の時代

・安全=安心ではなくなった
・安心は一人では得られない
・個人がコミュニティと切り離させる
・個人が直接国家や行政と関係を結ぶ
・宗教が力を失い、科学にも頼れない
・世界に中心がない
・フラットで均質な世界

 

実は、食べ物というのは信頼の証。

現在は、その信頼を
情報でしか保証できなくなっている。

つまり、信頼関係の作り方がわからなくなっている。

信頼をお金で買わなければならない時代になった。

 

身体と身体を使って信頼という
社会資本を取り戻す必要がある。

 

 

次世代のコミュニティの要件

・規模による適切なコミュニケーション
・情報技術の賢い利用
・ネットワーク型の連携
・身体や五感の交流
・食と子育ての共同、等々


新しい都市への提言

・低成長時代の発想
少子高齢化を支える街づくり
・ともに生きる楽しみを見つけられる都市づくり
・コミュニケーションとコミュニティの適切な連携
・二重生活のすすめ(子育ての環境、データ化できない、子どもの時間を尊重する)
・学びの場の増大
・世界視点からの国際化の推進
・文化・学術の生かす街づくり、等々

 

こうした環境や体験を通じて
豊かな感性を導き出す必要がある。

 

補足↓

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山極壽一先生特別講演レポート、その⑧

この段階で90分の講演時間は
75分を超え
「あ、スマホ社会のこと全然話していない」
とスライドを一気に飛ばし
さらにスピードアップ。

 

 

社会は
狩猟採集社会、
農耕牧畜、
工業化社会、
情報社会、
と進展してきた。

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現在、地球上の人口は70億人を超える。

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人口は増大したが
人間の脳は大きくなっていない。


現在、
家族崩壊の危機、
個食、孤食がすすみ
共同保育が喪失している。


そうした現象を
インターネットが加速させている。
「個人をむき出しにする」社会。


『サル化する人間社会』

・子育ての経済化、機械化
・集団原理のみの社会
・優劣社会の回帰
・共感能力の減退
・信頼関係の消失
・利益共同体と閉鎖的な社会

 

「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)

「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)

 

 


そして、Society5.0が提唱されている。

 

Society5.0とは…

Society 5.0で実現する社会は、
IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、
様々な知識や情報が共有され、
今までにない新たな価値を生み出すことで、
これらの課題や困難を克服します。
また、人工知能(AI)により、
必要な情報が必要な時に提供されるようになり、
ロボットや自動走行車などの技術で、
少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。
社会の変革(イノベーション)を通じて、
これまでの閉塞感を打破し、
希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、
一人一人が快適で活躍できる社会。

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超スマート社会とは?

「超スマート社会」は、
「サイバー空間とフィジカル空間(現実社会)が高度に融合した社会」として、
ロボット、人工知能ビッグデータ
IoT、新たなネットワーク技術・デバイス技術などを駆使する未来像。

 

現在は、少子超高齢社会。
労働力不足などの点で
AI、ロボット等は必要不可欠であろうが…

 

大学で、大学生を見ていて感じること。

 

IT時代の若者たち

・必要な情報はいつでもネット
・知識は人から教えられるものではない
・仲間と常時つながっている
・孤独になる時間がない
・自己決定ができない
・他者との交流が下手
・共感力を使う機会がない

 

知識はその人の中に入って、
交わりあいがあって、
有用なアウトプットができる。


また、他社と自分が
身体としてつながっていないと、
信じることができなくなる。

 

頭の中だけ。
行為につなげることができない。
身体で作り変えることができていない。

 

その⑨につづく↓

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山極壽一先生特別講演レポート、その⑦

音楽的コミュニケーションにより

・共同の歌(感情の表出と共有)
・音声と動きの同期(踊り)
・満足感と誘発と怒りの発散
・高揚感、増大官、感情や信頼の共有
・境界の喪失
・社会の同一性

ができた。

 

ところで。

 

ゴリラの子どもはあこがれを持たない。

 

人間はあこがれを抱く。
他者の中に将来の自分を見つける。
あこがれが目標となる。
子どもは、そのあこがれ、目標を大人に伝える。

大人は、その実現に向け
子どもの手助けをする。

これが教育。

人間はある意味
非常におせっかいな存在。

 

 

そんな「学び」にとって重要な時期は3つ。

・離乳期
・思春期スパート
・完成期


社会的環境の中で他者と自分の関係を調整し
自分の位置を構築する。

 

そこで重要なのが「共感」

 

共感は遊びによって育てられる。
・身体のつながりによって他者の動きを感じる。
・経済的な目的を持たない。
・他者に強制できない。

 

「遊び」は子どもがイニシアチブをもっている
・力のバランスをとる(子どもに合わせる必要)
・役割が交代する


ゴリラのゆかいな遊びかた / 東山動物園

 

ゴリラは3頭で遊ぶことができる。
2頭ではなく3頭となることで
関係性は複雑になる。
その複雑な関係性の中でも
ゴリラは遊ぶことができる。
ゴリラは他の動物とも遊べる

 

相手を挑発し、
遊びながら
相手の身体を知る。
相手の心を知る。

 

その⑧につづく↓

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山極壽一先生特別講演レポート、その⑥

人間の赤ちゃんは
共同保育されるように生まれついている。

 

お母さんが、すぐ赤ちゃんを
手から離してしまう(ベッドなどに置く)。

 

ゴリラは1年間は
ずっと赤ちゃんを抱っこしている。
手放さない。

 

なぜ人間の母親が赤ちゃんを
手から離してしまうかというと
赤ちゃんが重いから。
そして赤ちゃんが自力でつかまれないから。

 

赤ちゃんを手放すと
赤ちゃんは不安になり、泣く。
まわりにいる誰もが
その赤ちゃんを泣き止ませようとする。
泣き止んで、にっこり笑うと
とても可愛く、愛おしく感じる。
こうして人間の赤ちゃんは
よく泣いて、よく笑う。
つまり、いろんな人に見守られて
育てられるように生まれついている。

 

 

家族の発明

 

ゴリラは家族的な集団をつくるが
その家族的集団と家族的集団が集団を作ることはない。
チンパンジーは大きな集団をつくることができるが
その中に家族的な集団を作ることはできない。

 

「家族の論理」は見返りを求めない奉仕。
「集団の論理」は見返りが期待できる助け合い。
動物は、この二つの論理を組み合わせることができない。

 

人間は家族を発明し
共感によって「家族の論理」と「集団の論理」を
両立できるようにした。

 

例えば、子どもの運動会のために
親が尽力するのは「家族の論理」。
親が協力して
その運動会の準備したりするのは「集団の論理」。

しかし、ある子が病気になり
その親が協力できなくなった。
集団の論理だけなら
「協力しないのなら、グループに入れない」
「フリーライドさせない」
となる。
「子どもが病気で、たいへんなのよね」
「運動会参加できなくてかわいそうね」
と共感が働くから
家族も集団も維持できる。

 

直室二息歩行
食物分配と共食
サバンナへの進出
狩猟圧の増加
多産性の獲得
脳容量の増大
というここまでのキーワードをまとめると…

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音楽的コミュニケーション

人間は赤ちゃんと離れて育児することで
音楽的コミュニケーションを
身につけた。

 

言語コミュニケーションの前に
音楽的コミュニケーションがあった。

 

赤ちゃんの声色を聞くという育児が音楽の能力を向上させた。
子どもは絶対音感の能力を持つ
ピッチが高く、変化の幅が広い。

絶対音感相対音感となり
感覚が意味化していく。

 

つづきは、その⑦へ↓

 

 

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山極壽一先生特別講演レポート、その⑤

なぜ乳歯のうちに離乳してしまうのか?

 

それは人間は熱帯雨林から
サバンナに出たことに起因する。
直立二足歩行は人類の最も初期の特徴であるが
それは、長距離、食物をもって歩くことを可能にした。

 

しかし、サバンナに出たことによって
大型の肉食獣に襲われるリスクが高まった。
特に幼児が狙われる。
弱くて、しかもおいしい。
初期の人類は
肉食獣に幼児を狙われた。

 

そこで、多産になる必要があった。
多産の方法は二つある。
一つは、イノシシのように、一度にたくさん産む方法。
もう一つは、シカのように毎年生む方法。

 

人間は、進化の過程で
一回の出産で一人の子ども産むという選択をした。

出産や育児に長い時間と手間がかかるため、
一回の出産で多く生まれてしまうと
親の負担が大きくなって、生き残りが困難になる。
そのため、一回に一人しか生めない固体が生き残ったと考えられる。

 

毎年生むためには
離乳しプロラクチンを抑制する必要がある。
授乳をやめプロラクチンの分泌が止まれば
排卵ができるようになり
赤ちゃんが産めるようになる。


なぜ重い赤ちゃんを産むのか?

 

人間の赤ちゃんの重い部分は脂肪。
体脂肪率は、15~25%もある。
ゴリラの赤ちゃんの体脂肪率は5%。

 

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この脂肪は、脳の成長を助けるためにある。
人間の赤ちゃんは
1年で脳は2倍になる。
赤ちゃんの脳の骨が開いているのは
急激な発達を助けるため。
5歳で大人の90%にまで達し
12~15歳で完成する。

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人間は、直立二足歩行を行うために、
骨盤の形が変わってしまった。
大きな脳の赤ちゃんを産むことができなくなった。

 

赤ちゃんは、
接種エネルギーの40~85%を脳の発育に回す。
脂肪はエネルギーを十分に摂取できない場合の
予備のため。

 

思春期スパートとは?

 

子どもの成長速度と経年変化を見ると
生まれてから3歳くらいまでの間の
成長速度(成長率)が著しい。

それがスピードが落ち
再び、思春期に急激に伸びる。

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このことを「思春期スパート」という。
脳の成長に身体の成長が追いつく時期。
女子では、12~18歳。
男子では、14~21歳。
女子のほうが2年くらい早い。

 

ちなみに、
年齢別死亡率を見てみると
生後すぐは死亡率が高く
思春期に入ると
再び高まる。

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これは思春期を迎え
親元を離れて
自由に活動を開始するから。

 

こういう特性は時代を超えても変わらない。
文化を超えても変わらない。

 

つづきは、その⑥へ↓

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