食育研究家。九州大学講師/1973年、大分県生まれ。農学博士。/年間の講演回数は100回を超え、大人向け学びの場である「大人塾」「ママ塾」「mamalink塾」等も主宰/主な著書に『いのちをいただく』『すごい弁当力!』『食卓の力』など、いずれもベストセラー/新聞掲載、テレビ・ラジオ出演も多数


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2025-10-05 食育講演文字起こし③

↑帰りに食べた味仙ラーメン

 

Q1.
今日は素晴らしいお話をありがとうございました。
質問っていうわけじゃないんですが、
私は子ども食堂の仕事に関わっておりまして、
本来の子ども食堂の目的から違う働きになっているといいますか
高齢者たちへにも関わっておりまして、
ふれあい食堂という形でやっているんですが、
今日のお話を聞いて、
子どもたちに食事を提供するっていうよりは、
子どもたちと一緒に食事を作っていこうと思いました。
それが、子ども食堂の目的にかなっていると
私は感じたんですが、いかがでしょうか。

A1.
まったくそのとおりですね。
私は、子ども食堂については一定の信念がありまして、
まずネーミングとコンセプトが良くなかったんじゃないかと。
具体的には
「ご飯食べれない、経済的に貧困な子たちおいで」
「ご飯食べさせてあげるよ」
「それが子ども食堂だよ」
っていうイメージがつきすぎてて、
大人が真剣にやってるのに、
子どもたちがなかなか足を運びづらいっていう現実がある。
実際、子どもの食堂の数が、減っていってます。

一番ヒドイのはですね、
どこの市、団体か言いませんけれども、
賞味期限ギリギリのコンビニ弁当を集めて、
貧困な子どもたちに配っているんですよ。

お腹はいっぱいなのかもしれませんけど、
さっき言ったように、
あなたたちの賞味期限ギリギリのコンビニ弁当と同じだよ
っていうメッセージになるんですよ。

そうじゃない。
あなたたちにはすごい力と価値があるんだ
ということを大人として届かないといけない。

だから、子ども食堂っていうね、
ネーミングとは別に、
子どもたちを集め、
子どもたちに作らせる。
で、それを大人たちが
「おいしい、お前、天才じゃん」って褒める。
「来週も来てよ」「作ってよ」。
で、余った食材は持ち帰らせる。
そうやったほうが子どもたちの自尊感情とか、
やる気とかモチベーションとかね、
影響あるんじゃないかと思います。

自分が誰かの役に立って、
自分の力で
多くの大人たちが喜んでくれるんだ、
そういう経験の感覚を、
骨の髄から体験していくことが絶対に重要だというふうに思ってます。
頑張ってください。


Q2.
本日は。ありがとうございました
佐藤先生の食卓はどうなのか教えてください。
何でも質問していいということだったので。

A2.
食卓というよりは、あの…。
自慢話みたいな。
これ、娘が高校に入学し、
私が作った弁当の一覧写真です。
そのおかげか
娘はパパのことが大好きでいてくれると思います。
例えば、病気になると
「パパ看病して」
みたいな感じで
私が生活している離れの書斎にやってきます。
私も忙しいのですが
娘を看病する機会なんてこれが最後かもしれないと
ゼリーを食べさせたり
全力で看病しています。

Q3.
よい話ありがとうございました。
今日は家族3人で聞かせていただきました。
お弁当の日」という話がありましたけれども、
非常にいい取り組みだなと思いましたが
人はそれぞれ性格や個性があるじゃないですか。
どうしてもうまく作れない人とかのケアとか。
あと、性格的に弁当を見せたくないとか、
見られたくないとかいう人のケアとか。
そう言う場合はどうなんですか?

A4.
基本的な考え方として。
よく言われることです。作ってこれない子がかわいそうじゃないか。
そういう意見がたくさんあります。
弁当の日を提唱した竹下校長先生はこう言っています。
「弁当を作ってこれないような、技術的にも家庭の経済的にも
 かわいそうな状況を
 そのままにしておく方がもっとかわいそうだ」と。
本当にかわいそうな状況を抜け出すために技術を身につける。
食材がなかったとしても、学校行ったら、
隣の友達が卵焼きを一つくれたり、
唐揚げをくれたりする。
そういう時に本当に友達のありがたさとか
「ああ、あいつにはお世話になった」
「あいつは本当に優しいやつ」
だって本当の人間関係ができえいくんです。
かわいそうな状況をそのままにしないっていうことを言われています。
これ中学生が作った弁当なんですけど、
中学校でも弁当の日はあるんです。
中学生になるとこのレベルでもう作れます。
この子とか学校にうどんを持ってきてるんですよね。
香川県だけに。
で、ペットボトルからつゆを出してみて。
これだけですよ、だけど。ヒーローになれるんですよ、
この瞬間に。
うどん湯がいてきて、
ペットボトルにつゆ入れて持ってくるだけで、
「あいつ、すげー!弁当にうどん持ってきやがったぜ!」って。
この子は、自分でアジ釣って、それ焼いて持ってきました。
「あいつ、食材買うんじゃなくて、自分で釣りやがった」
ってヒーローになれるんですよ。
この弁当はひどいでしょ。
この子は、先月まできれいな弁当を持ってきていたんです。
この子は言ったんです。
「弁当を作ったら高校に行けるか!」
親も同調しています。
「あなたは勉強しなさい。弁当を作るのは私の仕事。
で、きれいな弁当を作って持ってきてました。
けれども、何人が作てこない生徒たちはいました。
でも、どんどん自分たちで作っていくんです。
なぜならば、作った方がかっこいいから。
作れると,自慢できるんですよ。
「この唐揚げ、最高にうまいけん。隠し味は…」
って言って、自慢できるんですよ。
親が作った唐揚げは、自慢できないでしょ?
自分の友達がどんどんどんどん作り始めて自慢し、
でも仁青谷に作ってもらっている。
それが恥ずかしいと思い出すんです。
それが成長するっていうことなんですよ。
彼は。
「お母さん、もう弁当作らんでいい。これから自分で作る。
 弁当の日のルールは自分で作るだから」
お母さんは
「弁当は私が作るから、あなたは勉強しなさい」
っていうけれど「いいや、自分で作る」。
で、朝これを作ります。
お母さんが慌てます。
「あんた、その弁当箱に持って行くの、やめて。
 お母さんが笑われる」
なんでお母さんが笑われるん?
つくったの俺やで。
で、学校でこの弁当を広げて食べます。
お友達が「めちゃこげとるやん」
とつっこみます。
彼は笑います。
「実は、彼は前までおかんがつくりよった
 はじめて弁当作ったら焦げた
 でも、来月はスゴイの作ってくるわ」
これが成長していくということです。
自立していくということです。
自分でできることを増やしていくということです。
もしかしたら、恥ずかしい気持ちもあるかもしれない。
それを自分の責任として受け止め、
もっとうまくなろうって頑張っていく。
これが大人になっていくというプロセスです。
親として、学校の先生として、
大人として大事なことなんじゃないかな。
成長するって、できなかったことを
できるようになることことです。
やったことがないことを
やるということが成長するということです。
やったことがないことをやって、
すぐにできたら、
それは大したことがないです。
やったことがないことをやって、
失敗して、それでも繰り返し、
また失敗して、
いつそれができるようになって
そこに価値があるわけですよ。
そう考えた場合、
その失敗の機会を与えないっていうのは、
大人として、親として、学校の先生として、どうなのか?
親として、学校の先生として、大人として保障すべきは、
子どもに失敗の機会、成長のチャンスを与えることではないか。

ということで約束の時間になりましたので
私の話を終わります。

ありがとうございました。

 

 

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