食育研究家。九州大学講師/1973年、大分県生まれ。農学博士。/年間の講演回数は100回を超え、大人向け学びの場である「大人塾」「ママ塾」「mamalink塾」等も主宰/主な著書に『いのちをいただく』『すごい弁当力!』『食卓の力』など、いずれもベストセラー/新聞掲載、テレビ・ラジオ出演も多数


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2025-10-5 食育講演文字起こし

【2025-10-5 食育講演 文字起こし】

 

これまで、少年犯罪と食というようなお話とか、
現代のリアルな食生活のお話とか、
ちょっとネガティブなお話をしてきました。

 

でも、皆さんのお宅は絶対に大丈夫です。
スライドの中にありましたように、
答えは日々の暮らしの中でしかないのです。
愛された子どもは絶対素敵な大人に育ちます。

 

だから、皆さんのお宅は絶対に大丈夫です。
なぜなら、PTA研修に皆さん来てるからです。
すごいことですよ。
小学校とか中学生なら、まぁわかるけど、
子どもが高校生になりました、
それでもそのPTAの研修に…
動員ということもわかるんですよ(笑)

 

それでも時間を割いてくるということは、
「あなたの高校生活が大事ですよ」
ってそういうことです。

 

逆に
PTA活動を一生懸命しながら
子どもにご飯全然食べさせてないとかいう人がこの中にいたら、
怖いです。

 

PTA活動をちゃんとやって、
こういう研修に時間を割いていくっていうことは、
「子どものことがそれだけ大切」。

だから日々の暮らしの中で、
ちゃんと子どもたちが安心して、
暮らしていけるように、
毎朝早くお弁当を作ったり、
夜は手間暇かけて夕飯を作ったりとか。
そういうことが十分できてるはずなんです。

 

 

しかし、一所懸命食べさせた、
育てた子どもたち。
その子どもたちに
ご飯を食べさせることができるのも、
高校生になってしまったら、
長くてあと2年半。
下手したらもうあと半年っていう人いるかもしれません。

 

子どもが親元を離れていく、自立していく、
必ずそんな日からやっていきます。
逆に、自立していない人がいるというのは問題なんです。
今、ニートやパラサイトシングルであったりとか、
そういう人たちがたくさんいます。
経済的にも社会的にも生物的にも自立してません
30代、40代になっても親に面倒を見てもらっている。
そういう生活をしている人たちが何百万人もいます。

 

私たちの子どもはそういう大人にしてはいけないんです。
ある年になったら、
生物的にも社会的にも経済的にもちゃんと自立して
次の世代を…
結婚するとか、子どもを産むかどうか、
それは本人の自由ですけれども、
次の社会を担っていく存在にならなきゃいけない。

 

そう考えていくと、
その一つの大きなタイミングは高校卒業です。
私の人生を振り返ってもそうでした。
高校卒業して大学に行く時に一人暮らしを始めました。

 

当然ながら学費が親が出してくれていたので、
経済的には自立できていませんでした。
けれども、
それでも親の元を離れて
一人で暮らしていくことになりました。
そういう人は多々います。

 

私は、高校の時は
「大学4年間で福岡の大学に行って、
 それからまた大分に戻ってきて、
 またここの道で暮らすんだろうな」
とか思ってました。

 

だって、自分の部屋があるし、
自分の部屋には好きな漫画があるし、
ベッドもあるし。
大分で就職して、ここから通えば…、
そんな日が来るんだろうなとか思ってました。

 

でも実際に人生を振り返ってみると
それからずっと私は福岡に住んでいて
結婚して、子どもをさずかり
糸島に家を買い
もう大分に戻ることはないでしょう。

 

糸島は子どもたちにとってふる里になりました。
そうすると、うちのおふくろ、
父親は私が20歳の時に亡くなってしまいましたけれども…

 

大分の実家に住んで、
親と一緒に毎日ご飯を食べる生活っていうのは、
実は、高校三年生の卒業の日が最後だったかなというふうに思います。

 

今、だって、年末年始…
あ、年末年始は会えないですね。
行政区長やってるんで神社行事があって、全然帰れないです。
盆も盆行事があるので帰れないです。

 

年末をちょっと早めにずらして、
子どもたちを連れて帰っています。

 

 

自分もある程度年を取って社会的に責任が出てきて、
親と会う機会が少なくなりました。
親と一緒にご飯を食べる機会
母親が作ってくれた料理を
「おいしい」といただくということが、
本当に一年間で数日となってしまいました。

母ももう75過ぎていますので
もうそれで考えていくと、
これからの人生でお袋の料理に食べることなんか、
多分、あと10回、20回、30回ないんじゃないかなというふうに思います。

 

それで考えると、
今、高校生のお子さんのお家にいて、
毎日弁当を作って、食べてくれる。
塾や部活で遅くなったとしても
自分が作った夕飯を「おいしい」って
毎日食べてくれる。
それすごく貴重で、ありがたいことで、
時間限定的なものなんだなというふうに思います。

 

でも、そんな日にもいつか終わりがやってくる。
子どもたちが自立をしていく日がやってきます。
その日をイメージして、ある大学生の作文を紹介したいと思います。

 

www.youtube.com

 

という大学一年生の作文です。
高校の卒業、大学進学のために自宅を離れ
一人暮らしを始める。
その最後の家族での実家での夕食。
お母さん手作りのハンバーグを一切れ食べて
涙があふれでててきました。

そんなシンプルなストーリーです。

 

彼女は「あのハンバーグにすごい力があった」と
言ってますけれども、
私は全然そんなふうに思いません。

 

一口食べてただけで涙が溢れ出てくるぐらい、
すごい力を持ったハンバーガーって
みなさん食べたことありますか?

 

溢れてくるのも肉汁ですよ。

 

あ、ここはウケるんだ。
さすが、黒毛和牛の薩摩川内市

 

違うんです。
すごいのはハンバーグじゃなくて、
彼女の心ですよ。

 

お母さんが手作りしてくれたハンバーグを一切れ食べただけで
心にずっと溜まってる家族の愛情
家族で囲んできた食卓の思い出
そういうのがポチャンと、
ハンバーグの一切れで溢れ出して、
涙としてて出てきたんじゃないかなと思います。

 

そんな優しくて温かい心を持った18歳が育っている。
では、誰がそんな心を育てたかというと
やっぱりお父さんとお母さん、そして家族の食卓ですよ。

 

お母さんは
「今日は忙しかったけど、あんたが好きやけん、
 ハンバーグ手づくりした~」
って言ってます。

 

今ハンバーグを安く食べようと思ったら、
びっくりドンキー」とか
「ジョイフル」とかいくらでもあるんです。
でも手作りをする。
あなたのことが大事だよって
家を離れる最後の家族の食卓でしょって
それじゃ手作りするよって。
そんなお母さん。

 

 

お父さんとしてもそうです。
仕事も忙しいけど、なつが最後やけん
帰ってきたよって、そんなお父さんなんです。

 

お父さんは、
今までずっと帰ってこなくて、
最後の日だけに帰ってきた、
そんなことないです。

 

実家を離れる最後の日にちゃんと帰ってくるお父さんは
クリスマスにも帰ってくるんです。
誕生日に帰ってくるんです。

 

それは仕事の大事、仕事も忙しいけど、
お前が生まれてくれた日は
それよりも大事だよって。

そういうメッセージを
18年間は子どもたちはうけとる。

そうすると、
こんな優しい心を持った子どもが
育つんじゃないかなというふうに思います。


多分、皆さんのご家庭でも、
高校を卒業してね、
明日から一人暮らしをするっていう日には、
こんな涙が溢れる、
笑顔が溢れるんじゃないかなと思っています。

 

(つづく)

 

 

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