食育研究家。九州大学講師/糸島市行政区長/1973年、大分県生まれ。農学博士。/年間の講演回数は100回を超え、大人向け学びの場である「大人塾」「ママ塾」「mamalink塾」等も主宰/主な著書に『いのちをいただく』『すごい弁当力!』『食卓の力』など、いずれもベストセラー/新聞掲載、テレビ・ラジオ出演も多数


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和牛のお話①

アグーのお話につづいて
和牛のお話もまておめておきます。

 

【「国産牛」と「和牛」の違い】
国産牛とは、日本国内で飼育された牛のこと。
日本で育てられた、牛乳を採るためのホルスタイン
屠畜されて肉になれば「国産牛」として
店頭に並びます。

一方、和牛とは。
日本の在来種をもとに、交配を繰り返して改良された牛の品種名。
次の4品種だけ。
黒毛和種(くろげわしゅ)
褐毛和種(あかげわしゅ)
日本短角種(にほんたんかくしゅ)
無角和種(むかくわしゅ)

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佐賀牛とか松坂牛は
黒毛和種のブランド名です。

 

 

【和牛の特徴と飼養頭数】
簡単に言えば
黒毛和種は、穀物を食べ、サシが入ります。
褐毛和種、短角種、無角和種の3種類は
草を食べ、サシが入りません。

その結果
現在、日本で飼われている和牛は(h17年)
黒毛和種:1613000頭
褐毛和種:36400頭
日本短角種:8500頭
無角和種:200頭

日本人は
サシが好きなので
というか国策として
そういう価値観が形成され
そのための
生産・流通システムが形成されました。

 

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きっかけは1991年の
牛肉輸入時由化。
普通に生産していては
安い輸入牛肉に勝てる見込みがないということで
「サシ入り」で付加価値を生み
そこに勝機、商機を見出したのです。

 

こうして圧倒的に
黒毛和種が飼養されるようになりました。

 

無角和種なんて
絶滅危惧レベルです。

 

それ以外にも、問題は数々あります。

 


【飼料の輸入】
黒毛和種穀物を食べます。
メインはトウモロコシです。
トウモロコシは
日本で作るより
外国産を買ったほうが圧倒的に安いです。
ということで
飼料を海外に依存しなければならないのです。


【不健康な飼い方になる】
牛は、他の動物に比べて効率が悪いです。
体重を1lg太らせるのに
必要なトウモロコシは
鶏卵:3kg
鶏肉:4kg
豚肉:7kg
牛肉:11kg
と言われています。

 

とすれば
できるだけ太らせようと思えば
運動をさせなければいい。
ということで
不健康な飼い方になります。

 


【失明、死にかけ寸前…】
和牛の肉質を決めるのは
脂肪交雑(サシの多さ)、
肉の色沢(いろつや)、
きめ・締まり、脂肪の色沢と質で、
これを5段階で評価します。
簡単に言えば
A5の和牛は
サシが多く入っている和牛です。

 

では、どうすればサシが多くはいるか。

 

サシが多量に入るというのは、本来は不自然です。

人為的にサシを入れる技術がビタミンコントロール

コントロールと言うと聞こえはいいですが
ビタミンを欠乏状態にします。
具体的には、
餌に含まれるビタミンAを与えないようにします。
しかし、ビタミンAは必須栄養素です。
それをカットすると
牛は失明したり
様々な、病気になったり
場合によっては
死んでしまいます。

 

ある農家は
死にそうな和牛を
「もう少し出荷を遅らせ
 体重が増えれば高く売れる」
と思い、
出荷を遅らせ
翌日、牛舎に行くと
その牛は亡くなってしまっていて
数百万円が0になったという
ケースもあります。

 

いずれにせよ
私たちが
「とろけるよう」
「歯が要らない」
なんて食べている
最高級の和牛は
そうやって育てられています。

 

(つづく)

 

 

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