食育研究家。九州大学講師/糸島市行政区長/1973年、大分県生まれ。農学博士。/年間の講演回数は100回を超え、大人向け学びの場である「大人塾」「ママ塾」「mamalink塾」等も主宰/主な著書に『いのちをいただく』『すごい弁当力!』『食卓の力』など、いずれもベストセラー/新聞掲載、テレビ・ラジオ出演も多数


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「人様に迷惑をかけないように」論

「人様に迷惑をかけないように」
これは、日本人の美徳であり
いわゆる
罰の文化、価値観ではなく
恥の文化、価値観である。

 

どんな震災が起きようが
暴動も起きず
食料の配給にはちゃんと列を作る。
サッカーの国際試合の試合後は
みんなでゴミ拾いをする。

 

日本という国は
こうした文化、価値観によって
成立している。

 

 

当然、その文化、価値観は
私たち大人の中にも浸透しているし、
それをそのまま子どもたちに
無意識の価値観教育してしまう。

 

つまり、意思決定の前提として
「人様に迷惑かけないように」
がある。

 

でも、子どもが
「やってみたい」
と言っているのに
親が
「迷惑がかかるかも」
と心配しすぎて
それをやらせないのは
子どもの可能性を潰すことになる。
子どもの意欲を潰すことになる。

 

冷静に考えると
私たち大人は
「迷惑」ということを
よく考えていないのかもしれない。
よく分かっていないのかもしれない。

 

 

【迷惑論①】
まず、この世の中には
人に迷惑をかけずに生きている人間なんかいない。
みんな足りない部分があって
自分にはできないことがあって
それを誰かが補ってくれて
助け合いながら生きている。

 

「いーや、そんなことない
 私は、迷惑をかけていない」
というのであれば
この一年間でも
自分が食べるものを
自分で作ってみればいい。

 

「いーや、ちゃんと
 お金を出して買っている」
というのであれば
それが本質。
食べ物さえ作ることのできない自分が
自分の得意なことでお金を稼ぎ
そうしてお互い助け合っているのが
社会である。

 

長所は人を助けるためにある。
短所は人に助けてもらうためにある。

 

できるだけ人に迷惑をかけないように
ってみんなが思いながら
誰にも頼らない社会を作るより
思いっきり人を頼って
思いっきり人を助け
お互いに
「おさがいさま~」
って笑っているほうが
happyだと思う。

 

 

【迷惑論②】
なんてことを語っていくと
勘違いが起こるかもしれない。
例えば、あるセミナーに行き
子どもがグズるとする。
「他人に迷惑かけていいんだ」
なんて思って、その場にいちゃいけない。

 

実際にある。

www.goshisato1973.info

 

それは他人に迷惑をかけているのではなく
他人の権利を侵害している。

 

ここは重要で
他人に迷惑はかけていいけど
他人の権利は侵害しちゃいけない。

難しいんだけど
この差は大きい。

 

そもそも
私たち大人が
「迷惑」と「権利の侵害」を
真剣に考えることもなく
念仏のように
「迷惑をかけないように」
「迷惑をかけないように」
と唱え続け、
その観念にとらわれているから
子どもの無限の可能性が
何も考えずに奪われる。

 

 

迷惑はかけていい。
甘えてもいい。
でも他人の権利は侵害しない。

じゃなきゃ、社会なんかいらない。