先日、卒業論文発表会祝賀会の場で
ある大学院生がこんなことを言ってきた。
「僕、佐藤先生みたいに、いつかは本を書きたいんです」
「いいねぇ。どんなジャンル?小説?ビジネス書?エッセイ?」
「今のところ、ビジネス書かなぁ」
「そっか。じゃぁ、本を書くのと同時に、ビジネスもがんばらなくちゃね。
ビジネスで成功していない人が書いたビジネス書は
多分、売れない(笑)」
「そうですよねぇ~」
「ドイツ留学中に学んだこととか、
ビックリしたこととか、気づいたこととか
書けばいいじゃん」
「それも含めようと思ってるんです」
「いいね。じゃぁ、今日から書き始めなよ」
「え、今日からですか」
「そう、今日から」
「だって、書くことも決まっていないのに...」
「書きたいことが決まったら、方針転換すればいいよ」
「そうしたら、それまで書いたモノが無駄になるじゃないですか」
「そのときは2作目に回せばいいんだよ」
学生のこういう発想では、
なかなか本はできあがらない。
自慢じゃないが
私のパソコンには、書きかけの原稿
タイトルだけを書いた原稿が10本くらいある。
仕事を大きく2つに分けるとすれば
「大事じゃないけれどすぐにやらなければならないこと」
と
「大事だけれどすぐにやらなくていいこと」
に大別される。
今の私にとって、
前者は、日々の事務作業であったりだ。
後者は本の執筆であったりだ。
普通は、前者を全うすることに追われる。
だけど、事務作業をするために生まれてきたのではない。
やっぱり、この世に生まれてきたのだから
生きた証を残したい。
そんな仕事をしたい。
とすれば、大切なのは、
「大事だけれどすぐにやらなくていいこと」
をやる時間をいかに確保するかだ。
飲み会で、思いついて、宣言して
その勢いでパソコンをひらいて5行でも書く。
その時間を意識的に設けなければ
「大事だけれどすぐにやらなくていいこと」
は永遠に、やらないままなのだ。