今日の午後は
西鉄グランドホテルで
JR九州社長、青柳俊彦氏の講演をお聞きしました。
JR九州ファンになってしまいました(笑)
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【JR九州の歴史】
JR九州の前身は国鉄。
・1964年 赤字に転落→毎年多額の赤字
・1980年以降 1兆円/年を超える赤字
・1986年 国鉄改革法成立
・1987年 国鉄分割民営化→s62/4/1、JR九州発足
※国鉄改革のための基本方針:
旅客鉄道会社は、経営基盤の確立等条件が整い次第
逐次株式を処分し、
できる限り早期に純民間会社とすることとする。
・H27年1月 経営安定基金(3877億円)を以下の資産に振替え
①九州新幹線貸付料の一括前払い(2205億円)
②鉄道運輸昨日からの借入金の償還財源へ(800億円)
③鉄道ネットワークの維持・工場に必要な鉄道資金へ(872億円)
・H27年6月 改正JR会社法 設立・交付
・H28年4月 改正JR法施行
そして
・H28年10月25日 JR九州、株式上場
この30年間は
普通の会社になるための30年間であり
鉄道以外の事業にもチャレンジし
うまくいかなかった事業もたくさんあります。
【JR九州 会社概要】
・会社名:九州旅客鉄道株式会社
・設立:昭和62年4月1日
・資本金:160億円
・社員数:9057人(H28.4.1現在)
・営業キロ:2273km
・駅数:567駅
・グループ会社
国鉄時代の最大時には
1万数千人の社員がいたそうです。
人員削減をし
営業キロは伸び
当時に比べると
2/3の人間で1.5倍の列車を動かしている
のだそうです。
そして以前は、
鉄道事業の赤字を
基金の利子、運用益で穴埋めしていましたが
利率が下がり、
非鉄道事業に挑戦することで
現在は、営業利益、経常利益も黒字に。
それでも、現在、鉄道事業は
毎年100億近い赤字。
S62年の鉄道事業の割合は81.8%
H27年の鉄道事業の割合は39.7%。
鉄道事業の割合は相当に低下し
逆に、非鉄道事業が成功しているということ。
しかし、東京都市圏の民間鉄道の売り上げの
鉄道事業の割合は20%程度なので
まだまだ余地が残されているということ。
青柳氏が九州に来てまず思ったのは
「鉄道の存在感」のなさ。
首都圏では、移動手段の70%が鉄軌道。
九州では5%で、移動の85%が自家用車。
鉄道の特徴の3本柱が列車の
定時制、速達性、大量輸送。
【在来線の高速化】
まず、速達性のupに取り組みました。
というのは、例えば、当時
博多ー熊本は高速バスが主流でした。
安くて便数も多い。
それを取り戻す必要があります。
そこで
新型車両の導入しました。
•S63年3月 783系:
JR初の新型車両、最高速度130km/h
•H4年7月 787系:
「動くホテル」を目指し、特急「つばめ」復活
最高速度130km/h
•H7年4月 883系
JR九州初の制御付振子方式電車
最高時速130km/h
カーブ通過速度(例:r600の場合、90km/h→120km/h)
さらに速いだけではダメ。
乗りたくなるような車両が必要と考え
三戸岡先生にデザインを依頼しました。
これにより主要都市への所要時間を
短縮することができました。
【コスト削減のために総合指令化】
H7年まで、運行管理
各駅のポイントの管理は
各支社で行っていました。
当然、人件費もかかるし
ヒューマン・エラーも発生します。
そこで、CTCセンターを創り
コンピューターでダイヤをデータベース化し
駅のポイントをコンピューターで制御するようにしました。
これにより何百人もの人員削減を可能にしました。
ちなみに、このセンターは
博多の某所にあり
超重要施設なので場所は秘密です。
【九州新幹線開業】
九州新幹線の開業により
熊本、鹿児島中央への到達時間は
大幅に短縮され、
利用実績も順調に伸びています。
【JR九州のD&S列車】
D&Sとは、デザイン&ストーリー。
以下の10の列車があります。
•特急「ゆふいんの森」
•特急「あそぼーい」
•特急「A列車で行こう」
•SL人吉
•特急「指宿のたまて箱」
•特急「海幸山幸」
•特急「はやとの風」
•いさぶろう・しんぺい
•特急「九州横断特急」
•JR KYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」
H27年度のD&S列車ご利用実績は
約76万人(対前年140%)。
ちなみに乗車効率は
・海幸山幸 89%
・SL人吉 84%
・ゆふいんの森 84%
・指宿のたまて箱 76%
普通は乗車効率は50%達成するのも難しく
30%に達しないこともあります。
D&S列車がまちのにぎわいを
つくりだしています。
【或る列車】
明治39年(1906年)、
当時の「九州鉄道」がアメリカのブリル社に
豪華客車を発注し、
「九州鉄道」が国有化されたため、
一度も動かずに一生を終えた
「九州鉄道ブリル客車」、通称「或る列車」。
自然環境をテーマにした料理をつくり続けるシェフ、
成澤由浩氏を口説き落とし
スイーツのコースを提供しています。
成澤シェフは無農薬は当然、
生産者の思いにまで触れ
食材を厳選するこだわりようで
スタッフは苦労しています(笑)
【インバウンド効果】
当然、九州の方々が
平日、昼間にD&Sに乗るということは
想定しにくい。
それを支えるのが
外国人旅行客、いわゆるインバウンド。
ただ、外国人旅行客が増えると
「WIFIを完備してほしい」
「座席足りない」
などのリクエストを多数いただくので
現在、ゆふいんの森号は
WIFIを完備し
1車両増設しました。
【ななつ星 in 九州】
コンセプトは
「新たな人生にめぐりあう旅」
「九州を世界に発信する」。
7両編成。
7両編成の客室車両を
引っ張り、九州の山の中を走ることができる
機関車は「北海道のJR貨物車」しかありませんでした。
これが、三戸岡デザインにより
ななつ星となりました。
客室は全部ツインなのですが
ダブルがいいという要望も多数あり
現在、改造中です。
大切なのは「おもてなし」。
スタッフは30人で、15人は外部から。
1年のトレーニングを行い
マニュアルではなく、考えるサービスを心がけています。
そしてスタッフだけでなく
地元の方々からのおもてなしが好評のようです。
沿線から地元の方々が
大勢集まって手を振ってくれ
「九州の人は手を振るのが好きなんですね」
と声をいただくほどです(笑)。